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Nobody can deny that there's something there

悲しみが乾くまで

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少し前に『悲しみが乾くまで』という映画を観た。

夫の死後、その親友と同居をはじめる女の物語。
かといって、その二人が恋をする類の馬鹿げた話ではなく、
深く傷ついた二人の人間がそれぞれ
再生するまでの浮き沈みを、描く人間ドラマだ。

物語は深く傷ついた二人がそれぞれに
少しづつ希望を見出してゆく過程で終わる。

素晴らしい映画だった。

映画を観た数日後に久しぶりに学生時代からの親友達に会った。
馬鹿な話でひと通り盛り上がり、やっぱもっと頻繁に会おうよ。
といった事をお互いに言い合った後、友人の一人が少し神妙な面持ちで
家族の一人を失った事を僕らに告げた。

肉親を突然失った彼の受けた衝撃の大きさは、
彼にしか分からないし、彼にしか消化できないもの。
僕らは、ただただ、彼の話を聞くことしかできず
自分達の非力さにショックを受け、呆然としていた。

愛する人を突然失ってしまったら...
その悲しみを「悲しみ」として受け入れるには、
一体どれくらいの時間が必要なのだろう。

今まで当たり前にあった事が突然なくなってしまう...
きっと、そんな目の前の現実を否定したいと思うだろう。

もしかしたら、膝を抱えたまま、何も食べず何も考えず、
ただぼんやりと過ごしていたいと思うかもしれない。

でも生きていくという事はそんな事を許してはくれない。
残酷なぐらいに日常は繰り返す...。

頭と体が別々のような戸惑いや、声にならない叫びや、悲痛な思い。
彼はそれらを少しづつ吐き出してその日、僕らは別れた。
また近いうちに集まろうという約束と共に。

帰りの電車の中で少し前に観た映画の事を思い返していた。

彼が再び明るい心を取り戻し、
人生に希望を見出し、また思い出を振り返ることができますように...。